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あるちゅはいま日記

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やまくじら

『名所江戸百景 びくにはし雪中』広重の錦絵。やまくじら_b0126549_20113706.jpg
現在の八重洲付近だそうだ、橋の向こう側は銀座1丁目。
「やまくじら」処の看板だ。
山に鯨がいるわけはない、肉は肉でもイノシシの肉だ。
江戸時代はまだ、獣肉を食べることを良しとしない風潮が強く、表だって肉を食べることは一般に避けられていた。
海に泳ぐ鯨は鯨でも魚の仲間と考えた。
ならば「やまくじら」は食べてもOK、堂々とこの看板が登場したようだ。
猪肉を「山くじら」「ぼたん」、鹿肉を「もみじ」、馬肉を「さくら」と呼んだ。
この例えは、肉食忌避文化を表面上取り繕ったものに他ならない。
実は、彦根藩(井伊家)は将軍家に牛肉を献上していたのである。
それは食用でなく養生用、つまり、薬なのである。
牛肉を食べたものでは無い、と言う都合の良い解釈。
それが今の近江牛だ。
世界をのぞいてみると、宗教上の理由から特定の肉を食べないという国がいっぱいある。
江戸に生きた人たちの建前と本音の使い分け、驚くべき柔軟性をもった食文化だ。


by hanaha09 | 2017-07-30 20:34 | 田舎暮らし | Comments(0)
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