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あるちゅはいま日記

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お伊勢まいりの代参犬

今、日本は外国からの旅行ブーム、インバウンドと言うそうだ。
二百数十年前の江戸時代にも国内の大旅行ブームがやってきた。
伊勢神宮への集団参詣、お蔭参りと呼んだ。
江戸からは徒歩で10日の長旅。
一生に一度は伊勢へという思いで、中には仕事を無断でさぼって行ってしまう人もいた。
1830年には実に500万人がこのお蔭参りに参加した。
国内総人口が3000万人程度の時代のこと、実に国民の6人に1人が伊勢参りをしたことになる。
その中には、「おかげ犬」と言う、お伊勢参りの代参犬もいた。
旅がどうしてもできない人が、自分の代わりに犬にお金を持たせお伊勢参りをたのんだのだ。
伊勢までたどり着いた犬は伊勢神宮を参拝し、お札をもらって帰ってくるのだ。
お伊勢まいりの代参犬_b0126549_21282407.jpg
この「おかげ犬」、代参の書き付けと共に、お賽銭や路銀の餌代の銅銭を包んだ風呂敷を首に巻いていた。
餌をもらう茶店や途中で出会った人たちが「これは感心」とさらにお賽銭を入れてやることもあったらしい。
そして、銅銭で風呂敷が重くなり、難儀をしている犬のため、軽い二朱銀に両替をしてやる人もいた。
上の広重の錦絵も、まさに夫婦づれの旅人が両替してやっている場面のようだ。
日本人には犬の風呂敷からお金を盗もうなどという不届きな人間はいなかった。
お札をもらった「おかげ犬」は書き付けに書かれた住所を見た旅人が、「俺が途中まで連れてってやろう」なんてリレーしながら家元までかえって来たに違いない。
長野原の大津交差点にも「お伊勢参り」に出かけた犬の記念碑がある。




by hanaha09 | 2017-07-29 21:59 | 田舎暮らし | Comments(0)
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