嬬恋村シャクナゲ園から東に向けて群馬坂林道がある。
ここを車で走って、一度も対向車に会ったことが無い。
もちろん木を切るお仕事をする方にもあったことはない。
秋深くなるとカラマツの黄葉がきれいだ。
途中からは浅間山も見える。
この林道から少し入り組んだわき道が沢に沿ってある。
この道を2,300m進むと一つの碑があった。
碑文は長い風雪で痛みほとんど読めない。
唯一読めたのがこれ。
「林道竣工記念」と読める。
このあたりは南木山と呼ばれ明治政府は住民たちの出入りを禁止した。
しかし、この人里を離れた山奥で群馬の前橋刑務所の囚人たちが木の切り出し作業を行った地だ。
この地は群馬坂と呼ばれ、木を運び出すこの道路は囚人道路と呼ばれた。
北海道の網走では旭川へ向う北見峠までの道路180kmが網走監獄の囚人たちの手で作られた。
あまりにも過酷な労働で栄養失調やけがなどで死亡者が続出した。
「囚人は果たして二重の刑罰を科されるべきか」と、国会で追及されるに及びついに明治27年廃止された。
群馬坂での作業もこれと同時期には廃止された思うのだが....
この碑には前橋刑務所と刻まれており、監獄の名から刑務所に変更されたのが大正11年だそうだ。
この地では大正以降も過酷な労働が強いられていたとも想像される。