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あるちゅはいま日記

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繰り返しの技

最近はトンとご無沙汰のどぶろく造り。
炊き上げた米に麹と"くされもと"を混ぜて"初添え"、発酵が一段落すると再び米と麹をたして"中添え"、そして最後にまた麹、米をたして"留め添え"とする。
この"段がけ"で比較的アルコール度の高い、芳醇なものに仕上がる。
日本古来の伝統工芸品である漆器。
出来上がった木地に漆を塗っていく。
出来るだけ薄く、何度も塗り重ねて仕上げていく。
漆が重合し、重ねることによって複合材料のように強度が増していく。
法隆寺、東大寺正倉院等の宝物が千数百年もの長きにわたり未だに堅牢性を保っていることは漆の驚異的な耐久性を物語っている。
波模様の映える日本刀、和包丁のたたいては伸ばし、またたたく。
この繰り返しが強靭で鋭い刃物にする。
いずれも日本伝統のものつくり文化、"繰り返しの技"なのだ。
そして、明治5年(1872年)仮名垣魯文(かながきろぶん)による西洋料理通に現代のトンカツの原型"ホールカットレット"が紹介されている。
この60年後の昭和4年(1929年)、上野の「ポンチ亭」で無名のシエフにより、肉厚3センチのトンカツが出来た、今と変わらぬトンカツの完成だ。
彼は、トンカツを油にいれ揚げはじめるが、まもなく取り出し放置した。
余熱があるから熱は肉に浸透する。
これを三回ほど繰り返すと、外側を焦がすことなく、厚い肉に見事に火が通る。
これぞ、日本伝統の繰り返しの術だ。
おまけに、トンカツは見た目にも美しく、包丁で一口大に切られていた。
そのまま、箸でカリっとした衣と共に柔らかな肉を味わうことが出来る。
最初は西洋料理だったが、これはもう日本料理だ。
こんな料理は世界にない。
繰り返しの技_b0126549_20381595.jpg
我が家のトンカツははるかに薄いのでここまでの技は必要がなさそうだ。
by hanaha09 | 2015-04-12 20:01 | 田舎暮らし | Comments(0)
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