菅平方面からの四阿山山系だ。
春先の薄緑色の若葉が美しい。
そのさまが唐絵の松に見えることから「唐松(カラマツ)」と呼ばれた。
そして秋には唯一落葉する針葉樹である。
それで、「落葉松」の漢字が当てられた。
落葉前の黄葉が詩情的でまた美しい。
からまつの林を出でて、
からまつの林に入りぬ。
からまつの林に入りて、
また細く道はつづけり。
北原白秋
天然分布は狭く、東北の一部、関東、中部の標高の高い山地に限られる。
北海道、中国、四国、九州には分布しない。
浅間山山系の天然母樹林(植林用の苗木の種を採る母親の樹)はよく知られている。
高倉健の映画によく出てくる北海道のカラマツ林のDNAを調べるとたいていが浅間山山系にたどり着くそうだ。
夕陽には黄金色に輝く。
風にはらはらと舞って落ちる落葉はまるでダイアモンドダストだ。
落葉松の落葉は山道に結構厚く積もる。
この上を歩くとふかふかのカラマツじゅうたんだ。
戦後始まった拡大造林の時代、海抜が高い地域や痩せ地では植林に適した樹種が見あたらなかった。
その中で取り上げられたのがカラマツであった。
植栽した時点で、十分な用材利用の見通しがあったわけではない。
伐採時期になっても放置されたままのカラマツ林も多い。