この別荘地内には浅間の湧水が流れ、鎌原村まで下って鎌原用水になる。
この小川のほとりにある「オタカラコウ」の群生。
漢字では「雄宝香」と書く。
花は見事にあざやかなお宝色だ。
実はこの根茎の香りが龍脳香(宝香)に似ている、そしてよく似たメタカラコウより花が大きく、勇壮であることから雌が雄に代わって雄宝香(オタカラコウ)の名になった。
ところで龍脳香(宝香)とは...
龍脳樹の幹の心部にある空間にできた塩状の樹液の結晶を採取、集めたものだ。
8世紀には唐の玄宗皇帝がベトナムで得られた最高の品質の龍脳を楊貴妃におくったという記録があるそうだ。
楊貴妃は匂い袋にいれて肌身離さず愛用したという伝説のお香だ。
樟脳と香気は似ているが繊細で気品のある香りは龍脳香が宝香と呼ばれる所以だ。
唐の時代から12世紀まで数百年間は龍脳香の記録が無く、おそらく乱獲の為ほとんど手に入る事が出来なかったそうだ。
「オタカラコウ」の根茎を掘り返し楊貴妃の香りに近づきたいと思ったのだが...
すぐそばに生えているのは青紫色の優雅な花を咲かせる「トリカブト」、歴史上でも有名、大活躍の毒草だ。
美しきものには常に危険が潜む。
この歳で新聞の話題になるのもみっともないので余計な試みはやめとくことにした。