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あるちゅはいま日記

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船箪笥

はるばる越前までやってきた。
三国港の川沿いにある旧岸名家を訪れた。
もともと材木商を営んでいた旧家、この家はおよそ190年前に建てられたとか。
居間には鈍く輝く船箪笥が置かれていた。
写真を撮ったつもりだが、何にも映ってなかった。
で、記憶にあるよく似た写真を見つけてきた。
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この上にもう一つ小型のが乗っかっていた。
船箪笥とは船備え付けの金庫、北前船の必需品だ。
外側は堅く丈夫なケヤキ、中の収納部分や引き出しはは物をやさしく包む桐材で作る。
前面にびっしりと重厚な黒い鉄金具が取り付けられ、家紋が刻み込まれる。
隠し扉を付けたり、複数の形の違う鍵穴を開けたりし盗難防止のために内部は複雑で特殊なバネ仕掛けの錠前は、箪笥ごとに違う。
持ち主でなければ絶対に開けられない作りになっている。
船箪笥は、もともと隙間は前面にしかなく、そこには重い鉄金具がこれでもかというほど打ち付けられている。
北前船が嵐に会ったりした、危急の際にはこの船箪笥を海に投げ込む。
引き出しの桐材は水を吸って膨れ上がる、箪笥は密閉されて水が入ってこなくなる。
おまけに海に投げ出された時に前面に取り付けられた重い金具がおもりになって隙間が下になる。
ますます機密性が高くなる。
船箪笥の中の空気の浮力で海上を漂うことになる。
そのうち誰かに発見されると金具に刻み込まれた家紋で持ち主がわかる。
持ち主の下に届けられないとこの金庫は開くことが無い。
この堅牢な船箪笥が実際に回収された例が古文書に残っているらしい。
日本海を流れる対馬海流は日本海沿岸にたどり着く様に流れることが多い。
この海流が北前船をにぎわせた一つの理由でもある。
そして、この越前三国は出羽の酒田・佐渡の小木と共に船箪笥の発祥地の一つだ。
代々の岸名家はこの堅牢な船箪笥のために最高の材料を供給していた材木商だったのだろう。
年月が経つとともにうっすらと木埋(もくめ)が透けて見えてくる。
これが何ともいえず美しい。
塗り重ねた漆は、ただ美しいだけでない、火にも強い。
日本の職人技を担った旧岸名家、代表的な「神楽建て」のたたずまいだ。
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by hanaha09 | 2017-05-24 16:52 | 田舎暮らし | Comments(0)
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