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あるちゅはいま日記

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木イチゴの思い出

あちこち引っ越すたびに木イチゴを植えたがどこも育たなかった。
この嬬恋村でも苗を2度植えたが冬の寒さで立ち枯れしてしまった。
ところが昨年からこぼれた種からの実生苗が育った。
生まれた時から寒さに鍛えられたのかこの苗がよく育った。
そして、今年は実をいっぱいつけた。
木イチゴの思い出_b0126549_19393963.jpg
木イチゴの実には幼少の頃の思い出がある。
昔の実家から歩いて数分ほどのところに母方の叔母が住んでいた。
夕方ころになると母に連れられよく叔母の家を訪れた。
叔母は満州からの引揚者だった、それも連れ合いを亡くしての失意の引揚。
で、家の中に畳の部屋はなかった。
我が家では想像できない木のベッドがあった。
台所はにんにくのにおいがプンプンしていた。
戦後、一人教師を勤めながら苦労を重ね二人の男の子を大学までやった。
そして時は昭和33年の1月、嵐の中に船出した1隻の汽船が沈没してしまった。
167名が全員死亡した海難大惨事だった。
この中の一人が叔母の長男、私の従兄だったのだ。
その後、母は叔母を気遣ってたびたびおとずれるのだが、その理由の一つに私と木イチゴをわけにしたのだった。
私が叔母の庭の隅に育った木イチゴを採っては頬張っている間に母と叔母は顔を摺り寄せ話していた。
母も叔母ももうとっくにいない。
ちょっととげとげしい木イチゴの実を口に心の中でそっと手を合わします。
by hanaha09 | 2013-07-15 20:22 | 田舎暮らし | Comments(0)
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