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あるちゅはいま日記

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峠の釜めし

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もう数年前になるが横川駅前にあるドライブインで本家「峠の釜めし」を食べたことがある。
正直なところおいしくなかった。
駅弁は駅弁でないと。
ちょっと薄汚れた列車の窓際にお茶と弁当を置き、ワンカップをちびりちびりとすすりながら上の具を食べるのだ。
それが済むと漬物とお茶で残りのご飯をかけ込むのだ。
列車のきしむ音が聞こえてくるのがまた良い。
後はこの釜めし土釜を包みなおしてカバンの中にしまいこんでは持ち帰るのだ。
昭和33年に発売された「峠の釜めし」、この土釜は弁当屋さんの姉妹が考えた益子焼の特製。
当時の原価が1個40円だったそうだ、同年に発売のチキンラーメンが35円だった。
昔の家の庭先にはこの釜めしの土釜が必ず転がっていたはずだ。
持ち帰ってもなんにも役が立たずに放り出されるのであったが、それでも土釜は捨てることはなかった。
この釜めしが世に出るにはいつものようにドラマがたくさんあった。
駅弁は鉄道管理局の許可を得ないといけないそうだ。
当局からは食べた後の土釜を列車の窓から放り出されたら保線区から苦情が来る、列車の中に放り出され割れたりしてけがでもすればもう事件だ。
と、言うことで窓の外へ捨てないように!家でもご飯が炊けますよ!との注意書きが加わることになったそうだ。
さてさて、売りだしの当日用意した釜めし30個、売れたのは8個だけ。
その後名前を「峠の釜めし」と改名したり、列車が着くたびに大声を上げホームを駆け巡ったがまったく売れなかった。
売れ残りは駅員や機関区の人に食べてもらったそうだ。
ところが数か月が経った夏のある日、東京からの列車がホームに着くと釜めしを求める客が殺到し売り切れ続出となった。
この月発売の「文芸春秋」に釜めしの紹介記事が載っていたのだ。
しかし横川では発売が遅れるので誰も知る由がなかった。
そのうち天皇陛下も召し上がったりで人気はうなぎのぼり、土釜の在庫がとうとう底をついてしまったとか。
一日2万4千個の販売記録を更新するまでそれから9年とかからなかった。
峠の釜めし_b0126549_0332871.jpg
発車ベルが鳴り、走り出す列車の窓から身を乗り出して駅弁とお釣りを売り子のおじさんから受け取る。
これぞ駅弁だったんでしょうね。
by hanaha09 | 2012-12-07 00:59 | 田舎暮らし | Comments(0)
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