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あるちゅはいま日記

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ポンペイ第四話

ベスビオ火山の噴火で一瞬にして埋没したポンペイはローマ時代をそのままに瞬間凍結、「生きている博物館」といわせたのは13人の避難者の発掘・保存にたずさわったマイウリ教授。
悲しみと恐怖と苦痛に耐える勇気が必要だったとも述べている。
ポンペイから10kmほど離れた郊外別荘地ヘルクラネムも日を同じくして埋没してしまった。
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ここからも大変な数の遺骨が発見された。
ここの人骨を分析した研究者が発表したのは鉛中毒を起こすに充分なほどの多量の鉛成分を含んでいたことだ。
ポンペイに引かれた水道には鉛管が使われていた。
ローマ時代にはぶどう酒にグレープシロップを混ぜ合わせていた。
このシロップは鉛びきの鍋でグレープジュースを濃い液体になるまで煮詰められた、生じた錯酸鉛が防腐剤の役目もした。
また、寒い冬にはこのぶどう酒を同じく鉛びきの鍋で温めて飲んだ。
しかも上流階級のぶどう酒消費量は毎日2リットルにも及んでいた。
ポンペイ第四話_b0126549_2314848.jpg
壁画に使われたポンペイレッドの塗料、これも鉛化合物。
古代ローマ人、それも支配者階級には慢性的な鉛中毒が蔓延していたようだ。
鉛中毒は関節の痛み・変形、頭痛、不眠症、精神的障害を伴う、また女性にとっては不妊症の原因ともなる。
古代ローマ皇帝の多くが大食漢で大酒のみ、いくつかの鉛中毒症状があらわれていたと見られている。
鉛中毒による為政者の狂気、文化の退廃、上流階級の子孫の根絶が古代ローマ帝国の衰退につながった、という説もおろそかにすることができなくなる。
ただ、中流、下層階級ではぶどう酒の消費量も鉛毒に接する機会も少なく健全に過ごすことができたということだ。
これらの階層が古代ローマ帝国での技術発展を支えていたというのも間違いなさそうだ。

ポンペイもローマも華やかな繁栄と栄華を崩してしまう予期せぬ伏兵の数々。
昔も今も、長生きするには貧乏で自然とうまくお付き合いするのが一番、というところでしょうか...
by hanaha09 | 2011-10-27 09:00 | 田舎暮らし | Comments(0)
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