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あるちゅはいま日記

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こまくさ物語

「こまくさ保育園」に「こまくさ寮」、「ペンションこまくさ」「こまくさ女性クリニック」...特急「こまくさ」まで。
どちらかといえばかわゆい、というイメージですね、ごろも大変よい。
日本人好みのとってもしたしみのある高山植物の女王です。
こまくさ物語_b0126549_9291281.jpg
本白根山のコマクサ群落がちょうど見ごろとなりました。
コマクサは高山の山頂や尾根などのごく限られた条件下の荒原に生育します。
何も生育していない厳しい環境の砂礫地に最初に根づく植物として重要な役割を担っているのです。
根、茎は地上部の5倍以上に成長しており、わずかな水分、養分をもとに見事な花を咲かせます。
その土地の養分が豊かになると、やがて他の植物に譲り、別の土地に移転しなければならない過酷な運命を背負っているのです。
女王には女王の孤高な生き方が...

古くから腹痛の妙薬として知られていた。
明治のころには木曽の御岳山では1本1銭で登山のお土産として売られていたそうだ。
当時の山のガイド、一日の報酬が25銭、山の人々にとってはかっこうの換金植物であったに違いない。
当然乱獲で消え去ってしまった。
ここ本白根山でもコマクサがどんどん盗まれ絶滅寸前、これをなんとか復元、保護しようと願った二人のロマンチストがあらわれた。
嬬恋村万座と六合村の干川、山口の両氏。
自宅で発芽させたコマクサを山頂の荒地にこつこつと植え続けた。
地元の小、中学校の生徒たちの協力もあおぎ、寒風の中手を真っ赤にして移植作業を行った。
植えた2000本ものコマクサが数日後にすべて引き抜かれて持って行かれた年もあったそうだ。
山に登った生徒たちに打ち明けることも出来ずに頭を抱え込んでしまったそうだ。
昭和13年から始まったこの活動は半世紀にわたり村民、行政一体となって取り組まれきた。
移植した本数、37,330本、蒔いた種、307万粒。
絶滅寸前まで追い込まれた本白根山のコマクサは、半世紀を経て日本一の株数を誇る大群落地となった。
こまくさ物語_b0126549_10165232.jpg
二人が活動を始めた頃は皆笑い飛ばした。
しかし今この風景を見て両氏の偉業を笑い飛ばす人は誰もいない。
人間力が造る風景もある、まれにそれが自然力に劣らぬこともある。
ロマンチストが夢を追い続けて造り上げた風景-それが、本白根山のコマクサの風景。
と、したためられております。

突然変異の真っ白な花をつけるコマクサの大株、昨年から忽然と姿を消したそうです。
道端には踏みにじられた一株のコマクサ、たぶんカメラを抱えて踏み込んだ人が居たのでしょうか。
.....。
by hanaha09 | 2011-07-12 10:45 | 田舎暮らし | Comments(0)
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